京都の敷居

僕らは京都へ向かった。

風情が残るこの街はいつ来てもいい。

紅葉はまだ早かった。

それでも充分だった。

僕らは決まって先斗町の割烹に行く。

大将に逢うために。

その大将と女将さん。

とても仲のいい夫婦だ。

この夫婦見てると僕らと似てるなぁとしみじみ思う。

15年後の僕らを見ているようだ。

大将は京都に身構えてた僕らの心をほぐしてくれた。

初めて行ったその夜、バーに連れられ、結局朝5時まで大将と飲み明かした。

かっこつけなくてもいい、背伸びしなくてもいい、片意地張らなくていい京都を見つけた気がした。

やっぱり人は人に逢いに行く。

何度もその店に通うということはそういうことである。