贈り物

朝早く、僕らは岐阜に向かった。

眠い目をこすりこすり。

すべてはきのこのために、、、

 

僕らは焦っていた。

どう考えても集合時間に間に合わないからだ。

こんな時は必ず忘れ物をするものだ。

明子がコンタクトレンズを忘れたと言い出した。

きのこ採りには致命的だった。

明子は半ばあきらめていた。

結局、僕らは30分以上遅刻して、山に入った。

さぁ、今日はどうかな?きのこあるかなぁ?

5分も経たないうちに明子が「あった!!」

と大きな声で叫んだ。

じゃじゃ~ん。今年初の大物。ハナビラダケ。状態も最高。

明子はご満悦だった。ご機嫌だった。

 

僕らは夜、営業があるため、一足先に帰った。

夕方、仕込みに追われているとお花が届いた。

「誰からかなぁ?」と明子は言った。

送り主は僕だった。

そう、9月23日はマダム明子の誕生日。

 

明子は、きのこの神様から、そして僕から「ハナ」という贈り物を受け取った。

明子は2重の喜びをかみしめていた。

                           

                          ありがとう。(声 明子)