ぬくもり

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先日、雪中キャベツの生産者に会いに小谷村を訪れた。

途中、道端にふきのとうがあちらこちらに、、、

は、早い!例年より1ヶ月早い。

なぜなら、今年は極端に雪が少ないからだ。

「今年の冬は雪がなくて楽だったなぁ」

そんなこと言う人は小谷にいない。

長老の坂井さんは

「雪があって小谷だでな」

そう言った。

雪という資源が地元の人には財産なのである。

今年はスキー場も雪中キャベツも大打撃を食らった。

雪中キャベツは4割しか収穫できなかった。

6割が廃棄ということ。

凍って焼けたり、鹿やネズミにやられたりで散々だったという。

雪がない方が支障をきたすのが小谷村なのである。

たまたま訪れた日が伊折地区の親睦会の日だった。

今年の畑や田んぼの割り当てをみんなで話し合っていた。

若い人も年配の人も一緒になってごちそうを囲んでいた。

みんな仲がいい。僕らもすっかりごちそうになった。

あぁ、なんかいい時間がここには流れている。

子供の頃よく行った群馬のおばあちゃん家を思い出した。

ここには人のぬくもりがある。

分け隔てなく自然体で会話している。

年齢も職業も生まれた所も違うのに、、、

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あぁ、いいなこの感じ。なんか懐かしい感覚。

それにしても、なんでこういう所で頂く料理って滋味深いんでしょうか。

素朴でシンプルで飾り気がなく、それでいて心に染みる感じ。

美味しいだけではない、しみじみと満ちていく感じ。

あぁ、これが料理の理想の形かもしれない。

15年目の真実

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昨日でDANLOは15年目に入りました。

パチパチパチー。おめでとう!

14年間も続けてこられたのは、、、

大きな病気もなく夫婦という最小人数でやってきたこと。

長くDANLOを愛してくれるお客さんがいること。

大きな欲もかかず一日一日地道にやってきたこと。

飽きさせないように常にメニューを変えてきたこと。

豚肉を看板料理とし、ぶれずにやってきたこと。

などなど。と思います。

が、しかしこれから先を考えた時にそう簡単にはいかない気がします。

魚にしても肉にしても良いものが手に入りずらい状況です。

今、リアルに実感しています。

特に僕の場合、生命線となる豚がその最たるものです。

いつもDANLOで仕入れている豚は今年は豚コレラの影響で育てることもできず。

もう一軒の生産者さんは高齢で来年引退してしまうとのこと。

跡継ぎもいない。

これが現実なんです。

一般の消費者の人には見えにくいですが

長野県の畜産農家は毎年2〜3軒のペースで辞めています。

という事は全国的に見ても同じことが起こっている。

だから地産地消とかこだわった美味しい豚とか言ってられない時代になってきた。

と、ひしひしと感じます。

DANLOがオープンした14年前と比べ明らかに食を取り巻く状況は変わった。

これは紛れもない事実。

その現実を踏まえた上でこれからのDANLOを考えないといけない。

今までのスタイル、方向性、メニュー構成では無理がある。

かといって残念ながら今思いつく秘策はない。

あまり時間はないがじっくり考え見極め答えを出さなければいけない。

 

15年目は難しい年になりそうだ。

 

それにしても今年はきのこがない!

どうなってるの?

 

 

 

 

 

ワイン造りの精神

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先日、藤原さんに誘われて東御市にあるシクロワイナリーに行ってきました。

今日は収穫ではなく病果取りのお手伝いに来ました。

熟せば熟すほど甘さがのっておいしくなる赤葡萄。

ギリギリまで収穫をのばします。

その反面虫や蜂、鳥、いたちなどの動物たちが狙っている。

つまり収穫量が2〜3割は必ず減る。

天候もふまえて収穫するタイミングが非常に難しく、味にものすごく左右する。

楽な方に流されない生産者飯島さんの頑なまでの信念を感じる。

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飯島さんは元自転車のプロ選手。

トップアスリートのストイックなまでの精神がワイン造りに生きている。

いや、妥協を許さない精神がないといいワインはできないのかもしれない。

そうとうメンタルが強くないとできないのかもしれない。

毎日黙々と夫婦2人だけでこの作業をしていると思うと僕は気が遠くなった。

たかが2時間足らずで腰が痛くなって疲れてしまった私。

僕には無理だ。ワインは無理だ。

飯島さんに限らずワインを造る生産者の方々に会って思うことがある。

みなさん共通して変態であるということ。(もちろんいい意味で)

情熱や愛を超えたところにいる気がする。

努力やストイックな自分をむしろ楽しんでいるような。

生きている酵母の泡を見て癒されるとか言うんですよ。

何時間でも見ていられるとか。

これって変態の域ですよね。(いい意味で2回目)

僕は料理は好きだけどそこまでではない。

そこまでにはなれない。

もっと現実的で打算的かもしれない。

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残りの人生を賭けてワイン造りにすべてを注ぐ人たちへ。

この畑が何十年いや何百年も続いていることを僕は想像する。

勇気と覚悟をもった人がその時その時代でバトンタッチしながら続いていくことを願う。

人はいつかいなくなるけど畑は残る。

歴史上こんなに長く続いている職業はワイン造りだけかもしれない。

だからこそワインを造る人はのめりこんでしまうのだろう。

 

やっぱり変態になるのも無理はない。(いい意味で3回目)