早朝6時半のはやぶさに乗って僕らは青森を目指した。
一泊二日の男二人旅。
イタリアンと和食の料理人が漁師に会いに行くツアーだ。
今回僕は唐木ちゃんに誘われて行くことを決めた。
唐木ちゃんは和食の料理人で僕と同い年。
料理に対する考え方が近く、感覚も似ている。
僕も唐木ちゃんも現場主義で、とにかく見ないと気が済まないタイプだ。
自分が扱う肉、魚、野菜、ワイン、酒、などなど。
どんな人の手を介して僕の手元に届くのか?
どんな人の思いが詰まって運ばれてくるのか?
その源流がどうなっているか?
僕は単純にそれが知りたい。
今回、青森のいろんな漁港の漁師さんと合うことができた。
それもすべて塩谷さん(写真右)のおかげ。
今回大変お世話になりました。
塩谷さんは青森市で魚屋を営んでいる。
いわば仲買人。魚の目利きのプロである。
塩谷さんのお母さんがホタテを焼いてくれた。
頬張る私。うまい。
うにも頬張る私。うまい。
ひっそりと佇む小さな漁港。
手付かずの自然が残っている。
丁寧な仕事が光るホタテの漁師、木浪さん。
役所の職員、東出さん。
行政から漁業を支えている。
アイナメを絞めて神経抜きに挑戦する私。
もちろん初体験。
うまくワイヤーが入らない。
こつをつかむまで相当かかりそうだ。
心配そうに見つめる塩谷さん。
でもこのアイナメ、自分が買ったもの。
誰にも迷惑はかけておりません。
DANLOに送る魚介たち。
青森は魚種が多い。
4つの海があるのは全国でも青森県だけだ。
魚介の宝庫というわけだ。
あっという間の二日間。
いろんな人と出会えて、いろんな人の仕事を見ることができた。
ここで言う仕事とは情熱だったり、気の使いであったり、職人としてのプライドだったりする。
みんないい意味でプライドの高い人たちばかりだった。
魚に対する気遣い。
これは間違いなく世界で一番だと思う。
僕の手元に届く魚は職人たちの技で溢れている。
愛で溢れている。
それが見れて本当に良かった。
青森まで来てよかった。
タスキを渡されたアンカーは僕ら料理人。
最後は僕らの腕にかかっている。
僕ら料理人がその素材を活かしきった時、このリレーは完結する。
漁師、仲買人、料理人。
それぞれのプロがレベルの高い仕事をして魚は美味しくなっていく。
鮮度や身が厚い魚がおいしいのは確かだ。
でも、本当に魚をおいしくするのは人の手だ。
おそらく僕の魚料理は今までとは違うものになるだろう。
その食材の背景を見ると僕の料理はおいしくなる。
だから現地に行くことは僕にとって大切なことなんだ。