肉のまる公 中編

僕は月に一度は足を運んで二人と雑談をする。

長いとき5時間居たときもある。

豚のこと、生産者のこと、農協のこと、屠場のこと、などなど。

いち料理人として、知らないことが余りにも多かった。

でも、都内で働いていた時はそんなことまで、頭が回ってなかったし

料理のことだけで精一杯だった。

 

だから今こうして、その道のプロたちと出会えるのが嬉しい。

僕は、いろんなことを、二人から教えてもらった。

出会えて良かった。

この先もずっと付き合っていきたいと思う。

 

 

家族のように、、、

                               

 

 

肉のまる公 前編

僕の生命線である豚。

質の良い豚を安定して仕入れる為には、

お肉屋との蜜な関係が必要不可欠だ。

店をオープンした頃は、直接、生産者から豚を半頭で買っていた。

今、思えば余りにも、リスクが高いことだった。

言いたい事があっても生産者には直接言えない。

切られたらおしまいだからだ。

 

でも、今は違う。

彼ら(写真上、社長と息子)の厳しい目を通って選び抜かれた豚たちが

僕の手元に届くわけだから、、、

こんな頼もしいことはない。

僕は、

「この二人なら、安心して任せられる。」と思った。

そう言い切れるまでの、絶対的信頼は、きのう今日では作れない。

 

信頼とは、時間がつくりだすものだ。

                               つづく

 

実りの晩秋

僕と同い年の税理士、飯田昭雄の実家は、りんご園である。

この時期、僕はりんご収穫の手伝いをする。

(しゃべってるだけで、手が動いてない!)

 

朝方の、うっすらはった霜も溶け、すがすがしい秋晴れとなった。

この夏の猛暑にも耐えてきた逞しいりんごたち。

二日酔いの息子と働き者の父

この日は家族総出でりんごを獲る。

ほほえましい光景だ。

 

そして、

絶やしてはいけない気がした。

ちょっと前まであった日本の原風景。