精神力

掃除も終わり、「さぁ帰ろうか。」と言う時だった。

トントンとドアを叩く音がした。

同業のお友達、山田君だ。

大きめのダンボールを一つ置いて足早に去って行った。

そうだ、思い出した!大量に採れたバジル届けますって言ってた!

僕らは、すっかり忘れていた。

これがそのバジル。

すがすがしい香りが真夜中のDANLOをたちこめる。

それにしても相当な量だ。

明日、ペーストにしようか。

いや、今日やろう。

マダム明子が言った。(たくましい!)

明子がどんどんバジルを掃除をして僕がペーストにしていった。

ミキサーで回して、詰めてまたミキサーで回して、、、

 

2時間が経過、、、、

 

ようやく、終わりが見えてきた。

ふと気が付くと夜中3時を過ぎていた。

 

長い一日が終わった。

 

僕はこの作業をしながらずっと思っていた。

今年は畑を辞めた。そこに時間は取られていない。

だから作ってくれたものを加工するのにいくら時間がかかっても

それは料理人として当然のこと。

餅は餅屋。と言った以上、当然なこと。

何時になろうと当然なこと。

 

もっと自分に厳しくないといけないな。

精神的に強くないといけないな。

僕は二人に気づかされた。

 

ありがとう、山田君。ありがとう、明子。