最終日は漁港へ行って魚を仕入れる。
沖縄にもうまい魚はある。
特にミーバイ(赤ハタ)はいい。アクアパッツァは最高だ。
本州にはいない珍しい魚介たちが並ぶ。名前も独特で覚えるのが大変。
魚を選んで送った後、僕らは沖縄県食肉センターへ向かう。
そこは言わばJAの子会社。
豚の生産から屠畜、加工、販売まで一貫している組織である。
これは全国でも珍しい。
ここが沖縄の人たちの胃袋を支えてると言っていい。
ここの面白いのは山羊の処理施設があることだ。
毎日、平均7〜8頭は屠畜するという。
これも沖縄ならではの文化だ。
豚に関して言えば一日平均1000頭の屠畜。
2年前に豚処理施設は新しく建て直し、最新施設が導入された。
より効率的、衛生的、合理的に一新したようだ。
その一部を見せてもらった。
豚がそのまま吊るされて巨大なバーナーで焼かれているところだ。
この一連の行程は全国にある屠場でも沖縄だけだ。
それはなぜか?
それは沖縄だけが皮つきの豚肉が手に入るということ。
つまりバーナーで毛だけを焼いていて、皮から内側は生の状態。
表面だけをうまく焼くことによって皮を残すことができる。
この火の調整に半年かかったという。
このように皮付きの豚肉が手に入るのは、600年も前から豚を食べている歴史がここ沖縄にあるからこそ。
今では貴重な行程だ。
今回担当してくれた具志堅さんと知念さん。
とてもお世話になりました。
2時間たっぷりお話を聞けて大変勉強になりました。
やっぱりこういう大きな組織の役割は不可欠だということがわかった。
発信力、影響力、情報力、組織力。
個人ではできないこともここならできる。
個人を救うことができる。
畜産全体を見ることができる。
生き物を扱う生産者の受け皿になることもできる。
ぼくは今回全く立場が違う3人の豚の生産者のお話を聞くことができた。
それぞれ考え方や理想、方向性は違う。
それは当たり前なことだ。こんだけ規模や立場が違うんだから。
でも分かったのはどれも必要だということだ。
アグーの血統を守る山本さん。
おいしい豚にするために日々研究する我那覇さん。
食肉の安定供給、流通を常に考えている食肉センターの職員さん。
どれも欠けてはならない。
ひとつでも欠けたら成立しない。
規模の大小ではない。
個人と組織の差でもない。
どんなに小さくても必要。
どんなに大きくても必要。
どれも畜産に変わりない。
みんなつながっている。
すべてつながっている。