飯田は昔から畜産の盛んな地域。特に養豚農家は多い。
多いと言っても16軒。最盛期には36軒あったという。
その中でも中ヨークという原種の血統を守り続けている農家さんがいる。
岡本さんだ。料理の世界では有名な生産者である。
岡本さんは千代幻豚という特別な豚を作っている。
鼻がつぶれたちょっとブサイクな顔をしている。
性格は穏やかで人懐こい。マイペースな豚だ。
そんな性格が味にも表れる。
きめ細かく甘みのある穏やかな味。
丁寧に育てられた洗練された味だ。
岡本さんは農協を通していない。
えさから販売ルートまで自分で開拓しなくてはいけない。
これは生産者にとってかなり精神的にきつい。
豚を作っても売る先がなければどうしようもない。
ダブつくことも多々あるという。
とは言っても誰しもが買える値段でもないし、半頭買いとなると50kという重さ。
仲間のシェフに声をかけてうまくシェアできてばよいのだが、
その店の規模、客単価、使う量、ポーション、ロス無く使いきる技量、
考え方、理念、こだわるところが違うから一筋縄ではいかない。
でもなんとかしないと生産者は消えてしまう。
いいものを作っている人ほど、コストもかかっているし、小規模生産なため
儲けは少ない。かといって設備投資は博打のようなもの。
今いる現状の中で生き残る道を探すしか無いのだ。
僕らにできることは何か。
そこは常に考えている。
すぐ答えは出ないけど、、、