灯台下暗し

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僕は小淵沢へ向かった。

ニジマスを養殖している方がいると聞いたからだ。

湧水が流れていて川魚の養殖には最高の場所だ。

これは期待できる。

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餌も赤ワインを作った後に出る葡萄の搾りかすを粉末にして基本飼料に混ぜて与えるいる。

その結果、ニジマスの健康状態が良くなったという。

3年の月日を経てようやく出荷できるめどがたったようだ。

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とても色つやがいい。

ポリフェノールの効果である。

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あっさりしていて脂がしつこくない。

無理に大きく育てていないので野趣を感じる。

ハイブリットな養殖の魚は味がうそくさい。

ここのニジマスは自然に近い飼い方なので味が素直だ。

僕はこの味が好きだ。

こんな近くにこんないい食材があったんだぁ。

知らなかったなぁ。

 

これからマスマス使っていきたいと思う。

 

 

 

 

モッタイナイ

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小谷からいい豚届きました。

一年の中でこの時期の豚が一番美味しい。

夏の放牧を終え、秋の冷え込みで身が締まり、脂を溜め込む。

そして、きめ細かい肉質になる。

ぐっと気温が下がると気が引き締まる。

だれていた細胞が一気に動き出す。

僕のやる気がでるのは決まって秋から冬にかけてだ。

野菜もお米も豚も人間もみんな同じだ。

 

僕の店では写真のようにロースの脂を2cmは付けてお客さんに出している。

勿論、脂がとにかくおいしいから食べてもらいたいという理由なんだが、

もう一つ別な理由がある。

それは、豚を余すところなく使い切るという信念が僕にはあるからだ。

改良に改良を重ね現代人に食べ易く、脂の少ない歩留まりのいい豚が作られている。

それでも豚一頭から肉として5割取れればいい方。

頭、皮、毛、しっぽ、内蔵、血、脂は一般の流通に乗らない。

破棄しているのが現状だ。

昔は脂を買い取る業者もいたが今では肉屋さんがお金を出して破棄してもらう。

 

せっかく人間のために生まれてきた豚に申し訳ない気持ちになる。

少しでも捨てる割合が減って、その分人の口に入ればいいと願う。

そんな思いからだ。

だから僕は簡単に脂を磨く(捨てる)ことができない。

 

食が豊かになればなるほど人間の都合がエスカレートしていく。

これはとても危険なことだ。

 

この贅沢な時代、問われているのは人としての資質だと思う。

 

 

 

 

 

 

ワクワクドキドキ

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今年もノヴェッロの会やりました。

イタリアの北から南まで7種類の赤を用意して飲み比べてもらう企画です。

料理は秋を意識した食材を使いました。

きのこ、栗、柿、ちりめんきゃべつ、カリフラワーなど。

 

今年初めて収穫したぶどうで作ったワインです。

毎年出来も違うし、毎年気象と戦いながらこの日を迎えている。

だから、それぞれの作り手の緊張感とワクワク感が伝わってくる。

新酒とは作り手にとって特別なものだと思う。

どんなにベテランの人でもピカピカの一年生のような気持ちでこの日を迎えていると思う。

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果たして今の自分はどうだろうか?

毎年、緊張感とワクワク感を持って料理に向き合っているだろうか?

8年前にDANLOをオープンした時の気持ちは今あるのだろうか?

ふとそんなことを考えた。

 

「初心を忘れるな」ってよく言うけどなかなか難しい。

無理に初心に返る必要はないけれど、常に緊張感とワクワク感は持っていたい。

 

その二つがあればきっと人生は楽しい。