モッタイナイ

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小谷からいい豚届きました。

一年の中でこの時期の豚が一番美味しい。

夏の放牧を終え、秋の冷え込みで身が締まり、脂を溜め込む。

そして、きめ細かい肉質になる。

ぐっと気温が下がると気が引き締まる。

だれていた細胞が一気に動き出す。

僕のやる気がでるのは決まって秋から冬にかけてだ。

野菜もお米も豚も人間もみんな同じだ。

 

僕の店では写真のようにロースの脂を2cmは付けてお客さんに出している。

勿論、脂がとにかくおいしいから食べてもらいたいという理由なんだが、

もう一つ別な理由がある。

それは、豚を余すところなく使い切るという信念が僕にはあるからだ。

改良に改良を重ね現代人に食べ易く、脂の少ない歩留まりのいい豚が作られている。

それでも豚一頭から肉として5割取れればいい方。

頭、皮、毛、しっぽ、内蔵、血、脂は一般の流通に乗らない。

破棄しているのが現状だ。

昔は脂を買い取る業者もいたが今では肉屋さんがお金を出して破棄してもらう。

 

せっかく人間のために生まれてきた豚に申し訳ない気持ちになる。

少しでも捨てる割合が減って、その分人の口に入ればいいと願う。

そんな思いからだ。

だから僕は簡単に脂を磨く(捨てる)ことができない。

 

食が豊かになればなるほど人間の都合がエスカレートしていく。

これはとても危険なことだ。

 

この贅沢な時代、問われているのは人としての資質だと思う。