満たされた夜

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いつもお世話になっている精密の会社の接待。

お客さんは初めて日本に来たというアメリカ人のデイブ。

見るものすべて新鮮で興味津々。

日本人が作るイタリアンももちろん初めてだ。

彼は一皿食べ終わる度に僕の顔を見てうんうんと頷いた。

時折笑みを浮かべて美味しそうに食べている。

どうやらとても気に入ってくれたようだ。

彼は言った。

どれも素晴らしい!最後のデザートまで!

そう言ってもらえると僕はもちろん嬉しいが接待した社長も嬉しいはずだ。

あぁ、ここにして良かった。そう思ってくれる。

全部出し終えた時、シェフも一杯どうですか?とデイブに言われ、

えっ!いいんですか?と言いながらそそくさとビールを注いでいた。

会社の接待の席に僕も明子も誘われて一緒に飲むなんていうことはなかなか無い。

かなり稀なケースだ。

だからこそ嬉しかった。

このお店美味しかった。プラスここのシェフとマダム。

僕らの人柄まで気に入ってくれたということ。

 

この日は僕も含めてみんな気持ちのいい満たされた夜だったに違いない。