モッタイナイ

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小谷からいい豚届きました。

一年の中でこの時期の豚が一番美味しい。

夏の放牧を終え、秋の冷え込みで身が締まり、脂を溜め込む。

そして、きめ細かい肉質になる。

ぐっと気温が下がると気が引き締まる。

だれていた細胞が一気に動き出す。

僕のやる気がでるのは決まって秋から冬にかけてだ。

野菜もお米も豚も人間もみんな同じだ。

 

僕の店では写真のようにロースの脂を2cmは付けてお客さんに出している。

勿論、脂がとにかくおいしいから食べてもらいたいという理由なんだが、

もう一つ別な理由がある。

それは、豚を余すところなく使い切るという信念が僕にはあるからだ。

改良に改良を重ね現代人に食べ易く、脂の少ない歩留まりのいい豚が作られている。

それでも豚一頭から肉として5割取れればいい方。

頭、皮、毛、しっぽ、内蔵、血、脂は一般の流通に乗らない。

破棄しているのが現状だ。

昔は脂を買い取る業者もいたが今では肉屋さんがお金を出して破棄してもらう。

 

せっかく人間のために生まれてきた豚に申し訳ない気持ちになる。

少しでも捨てる割合が減って、その分人の口に入ればいいと願う。

そんな思いからだ。

だから僕は簡単に脂を磨く(捨てる)ことができない。

 

食が豊かになればなるほど人間の都合がエスカレートしていく。

これはとても危険なことだ。

 

この贅沢な時代、問われているのは人としての資質だと思う。

 

 

 

 

 

 

釣りの心得

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大町にある鹿島槍ガーデンにて、鱒を釣る。

今回で2回目。

なかなか難しい。最初の2時間一匹も釣れず。

僕の指導にあたってくれたKさんはいとも簡単にすぐ横で何匹も釣っている。

何が違うのか、僕には分らない。

仕掛けを変えたり、竿を変えたりしたけれど、どうやら原因はそこではないようだ。

経験の差と言ってしまえばそれまでだが、なんか悔しい。

気を取り直して午後の部にすべてを賭ける。

このまま坊主で終わるわけにはいかない。

家で待っている明子のためにも何とか釣らなくては、、、

 

昼食をはさんだ後の第一投目で、、、

奇跡が起こった。

ググッと当たりがきてしっかり捕らえた感触。

とうとう釣った。開始から3時間が経っていた。

その後3匹程釣れた。

「初心者で4匹も釣れれば上等だよ。上級者でもなかなか釣れないもんだよ。」

とKさんは言った。

そうなんだ。じゃあ良かった。釣れて良かった。

でも午前中はあんなに釣れなかったのに午後に入ってなんであんなに釣れたんだろう。

一緒に行った仲間も不思議に思っている。

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結局3人で合計9k釣ったことになる。

これは大漁と言っていい。

責任を持って僕がすべて成仏いたします。

 

釣れなきゃ楽しくないのが釣り。

魚を釣るためには知恵と忍耐が必要だ。

 

 

 

ほころぶ顔

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今年も参加しました。JOY OF SAKE

全国380銘柄の日本酒が一同に集まる大イベントであります。

僕らは真澄さんとのご縁でこの晴れ舞台に参加することができました。

前回は豚のタン、ホホ、ミミ、豚足でコッパ(ハムの一種)を作りましたが

今回は意表をついてデザートにしました。

日本酒に合うデザート?それが、これ!

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大吟醸酒粕のパンナコッタ 甘酒のソース

前日に800食作りました。

見た目地味だけど、味はいい。

僕はみんなの反応を早く見たかった。

 

いらっしゃいませ〜

酒粕のパンナコッタ!いかがですか〜

うんっ!これ美味しい!

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どこで買えるの?

レシピ教えて?

酒粕ってデザートにも使えるのね。

お取り寄せで出せばいいのに。

お客さんが一口食べた時のほころぶ顔を僕は何度も見た。

予想以上の反応に僕の顔がほころんでいた。

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いろんなお酒を呑んでだんだん胃も疲れてきたところで最後は甘いもので締める。

僕らの意図が確かに伝わったと思う。

 

美味しいものを一口食べた時、誰しも顔がほころぶ。

それが見れるのは料理人として一番幸せなことだ。

そして自信にもなる。

 

食べている時はみんな素直だ。

その顔にうそはない。